三月の終わり頃に、私の義母は軽度〜中度の認知症療養のためのグループホームから重度の療養のための病棟へと、引っ越しをしました。
それ以降、今日は2回目の訪問です。
前回は私が誰か、直ぐには分からなかったのですが、今日の義母は私の顔を見て『娘の婿さん』、そして私の名前を呼びました。
病棟のレクレーションではキーボードを弾いてみんなが歌う歌の伴奏をしているとナースの方から聞かされていましたので、若い頃のことを思い出すことが多くなったために記憶の呼び出しが速くなったのかなと、私は嬉しく思いました。
何度も私の手を握って、『昔のことを思い出しちゃって、辛いようぅ』と涙ぐみながら話しました。
『あの娘(義母の二女)は我がままだからねぇ、ずいぶん可愛がってもらっていたのに・・・』
そして言いにくそうに『もう一度、あの娘をもらってくれない?』
義母が認知症の療養施設に入るまで、言葉でも態度でもずいぶん乱暴に義母に当たっていたという娘、義母が施設へ入ってから一度も顔を見せにきていない娘、そんな娘をも思う親の心。
少し前の私なら、眉をひそめて肩をすぼめて、「それだけは、まっぴら!!」と答えていたことでしょう。
しかし今日は、そんな答え方はできませんでした。
「あの人のほうでイヤって言うでしょう、ボクも我がままだったから」
そう答えてから私は思いました、いつか素直な気持ちを義母に伝えなければと。
さすがはあなたが育てた娘です、いいところもいっぱいありましたよ。そして、あの人ほどボクを理解してくれた人はいませんよ、と。
さらに、あの人にも伝えられる機会があったらと思います、お母さんはこんなになっても、まだあなたのことを思っているんですよ、と。あなたは孤独ではありませんよ、と。